Speaker Work Shop ストーリー

スピーカー作りのはじまり

私がスピーカー作りを始めたのは、社会人になってから、長男が生まれて間もない頃でした。自分自身が落ち着いて音楽を楽しめる空間を求めて、趣味として部品を集め、少しずつ自作を始めました。最初は本当に家族のためだけのものでしたが、作るたびに「もっと良い音が出せないか」と改良を重ねてきました。


「この音を売らないのは罪だよ」と言われて

それまでは販売するつもりもなく、あくまで趣味として作り続けていました。転機になったのは、カフェで開いた小さな試聴会です。
昼下がり、オーディオ仲間に自作スピーカーの音を聴いてもらったところ、最年長のマニアの方より「この音を売らないのは罪だよ」と言われました。その言葉がきっかけとなり、「自分が生み出した音が、誰かの生活に役立つかもしれない」という思いが芽生え、本格的にスピーカー作りに取り組むことを決めました。


Japan Sound Bloom という名前に込めた意味

ブランド名「JSB」は「Japan Sound Bloom」の頭文字をとったもので、「日本から音楽の輝きを」という意味を込めて名付けました。日本人としての繊細な感覚や、丁寧なものづくりの精神を大切にし、聴く人の心に音楽が花開くような体験を届けたいと考えています。


聴覚過敏だからこそ実現できる“本当に快適な音”

私は聴覚過敏とフォノフォビアの症状を持っています。私の場合、フォノフォビアは突然の大きな音が怖いというよりも、生活の中にある小さな音や予測できない些細な音すら強い不快感や恐怖の対象になる症状です。

しかし、この特性は同時に「ほんのわずかなノイズや歪み」「人が気づきにくい耳障りな音」まで敏感に察知できるという長所でもあります。
そのため、スピーカー作りにおいても、“自分が快適だと思える音”を基準に、

  • 余計なノイズや不自然な響きを徹底的に排除する
  • どの帯域も削らず、全ての音域で自然で快適なバランスを目指す
  • 長時間聴かなくても、短い時間で満足できる音作りを意識する

といった音作りを追求しています。
聴覚過敏だからこそ、「一般的には気にならないレベル」のノイズやピークも見逃さず、細部まで徹底的に仕上げることができます。
自分の耳を“最も厳しいリスニング環境”と考え、そこで満足できるまで何度も試作・調整を重ねてきました。
その結果、同じように繊細な音に悩む方はもちろん、普段は特に意識していない方からも「心地よい」「これなら満足できる」と評価をいただけるようになっています。


家族とともに歩むスピーカー作り

現在は、場面緘黙症の息子と、まだ幼い娘と暮らしています。息子は高校生で普段は話すことが難しいですが、音楽が好きで、今はスピーカー作りに興味を持ってくれ、はんだ付けなどの作業を勉強しながらサポートしてくれています。
娘はまだスピーカーの音の良し悪しがわかる年齢ではありませんが、「将来満足できるように」という思いを込めて、今も一台一台丁寧に作っています。


これからも「良いものは良い」と言われるものづくりを

製品寿命は特に定めていませんが、10年後、20年後でも「やっぱり良いものは良いね」と思ってもらえるスピーカーを作り続けることが目標です。
誰にとっても“安心して音楽を楽しめる空間”を提供できるよう、今後も自分の耳と向き合いながら、一台一台心を込めて製作していきます。


症状について(場面緘黙症・聴覚過敏・フォノフォビア)

息子は「場面緘黙症」という、人前や特定の場面で話すことが難しくなる症状があります。
私自身は聴覚過敏およびフォノフォビア(音恐怖症)を持っていますが、フォノフォビアは「突然の大きな音」だけでなく、日常の小さな音まで不快や恐怖の対象になることが特徴です。
こうした経験が、スピーカー作りにおける「本当に心地よい音」への強いこだわりにつながっています。


JSB Speaker Work Shop
田原 達政

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