
お手頃価格ながらいい音、というイメージがかなり定着してきたFiiOから、また価格破壊と言っていいような内容のハイレゾ音源対応の新型DAPが登場しました。
AKMのモバイル向け高音質DACをデュアル構成で搭載しながら3万5千円程度のお手頃価格を実現する製品です。
従来のFiiO製プレイヤーとは完全に別のラインとなるMシリーズの現時点でのフラッグシップと言えるのかもしれませんが、価格面ではとてもそうは見えないところがFiiOらしさなのかもしれません。
今回はFiiO入魂の新DAP、M9を取り上げます。
AK4490ENデュアル構成
FiiO M9の最大のウリはやはりこの部分でしょう。
高音質DACといえばこのメーカー、がすっかり定着した感のある旭化成エレクトロニクスがモバイル機器に搭載するための調整を行なったDAC「AK4490EN」を左右独立でデュアル搭載しています。
型番的に現在の旭化成エレクトロニクス製DACのハイエンドであるAK4497シリーズの前の世代のハイエンドチップであった、AK4490シリーズの血統を受け継ぐチップだと思われますので音質面には心配無用と言っていい製品でしょう。
左右独立構成としたことでチャンネルセパレーションなどの面で非常に有利になっているはずです。AK4490EN自体が極めてS/Nの良好なチップでもあることもあり、M9はプレイヤーとしてもクラスを超える高S/Nを実現しています。
ハイレゾ音源フォーマットとしては、PCMは24bit/192kHz、DSDは5.6MHzまでのデータのネイティブ再生に対応します。
クロックジェネレータはもちろん44.1kHz系と48kHz系統の2つを搭載。
DAPの操作感に重要な役割を果たすCPU側にはサムスン製の新しいSoCを使っていて、DAPに搭載するものとしてはかなり高性能なチップになっています。
ヘッドフォンアンプのオペアンプICにもTI製の高性能なものを使い、ハイインピーダンスな駆動しにくいヘッドフォンにも十分なパワーも合わせて獲得しています。
2.5mm4極タイプのバランス出力イヤフォン端子も搭載しています。
Bluetoothは話題のHWAにも対応
Bluetoothの音声コーデックではファーウェイが新たに提唱するハイレゾ級の新コーデック、HWAにも対応したことがトピックの一つと言えるでしょう。
もちろん既存のLDACやaptX HDにも対応していて、現時点でのハイレゾ級と言われるBluetooth音声コーデックを網羅したことも大きな特徴です。
Wi-Fiも搭載していてDLNAクライアント機能を持っていますので、ネットワークプレイヤーとしてNASやパソコンの共有フォルダにある音楽ファイルの再生も出来る多機能ぶりを発揮します。
USB DAC機能も内蔵していて、パソコンの音を簡単にグレードアップすることも可能です。
割り切りの仕様も
FiiOらしいといいますか、この贅沢な内容をお手頃価格で実現するためにかなり大胆に割り切った部分もあります。
その一つが内蔵ストレージで、今どきのDAPとしては「わずか」と言ってかまわないと思いますが、容量は2GBだけになっています。ハイレゾ音源を扱うには追加で大容量のマイクロSDカードが必須になりますから、プレイヤーの価格にはSDカード代を上乗せして考えておく必要はあります。
液晶パネルは3.2型で800 x 480ドットのものを使用。もちろんタッチパネル搭載で直感的な操作ができます。
サイズは106mm x 60mm x 13.3mm、重さは133gで、画面サイズが大きくなる前の初期のスマートフォンぐらいのサイズ感になるでしょうか。
内蔵バッテリーは2,350mAhあり、約10時間の連続再生が可能です。
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