どうもここ数年、Appleの音楽関連のサポートに関する動きが鈍いように思います。
ハイレゾ形式に対応するコーデックのALAC登場でハイレゾ音源の販売の環境も整ったように見えましたが、まだiTunes Storeではハイレゾ音源を扱う雰囲気がありません。(というよりもiTunes Store自体にそれ以外も動きがない?)
また、ソフトウェアのiTunesほうでも目だった機能追加がない感じで、なかなかFLACなどのフォーマットに対応してくれません。
このためMac+iTunesなどでハイレゾ音源の管理をしたいユーザーは、音源をALAC形式に変換する一手間が必要なままになっています。
そんな中、iPhoneやMac向けの次期OSではやっと動きがありそうです。
iOS 11で、どうやらFLACがようやくOS本体の機能でサポートされることになりそうです。
OSのオーディオサポート機能「Core Audio」がFLACを認識
iPhone、iPad用の次期OSバージョンiOS 11では、Apple系OSのオーディオのコア機能である「Core Audio」レベルでFLACに対応してくれるようです。
これにより、FLAC音源のデコード処理を音楽再生用アプリ側で持つ必要がなくなります。ハイレゾ音源対応の再生アプリの作りが少し楽になるはずです。
もしかしたら、音楽再生アプリの増加につながるかもしれませんね。
また、同様の機能はMacOS側にも導入の予定のようです。こちらも次期バージョンでの対応となる見込みです。
これにより、ようやく母艦側のソフトであるiTunesもFLAC対応することになるでしょう。
ちょっと遅すぎた感もあるものの、やっとキャッチアップが進むことになりそうです。
AndroidやWindowsに部分的に先行を許す
この辺りでAppleの動きが止まっていた間に、AndroidやWindowsが随分と音楽再生環境の整備を進めていました。
どちらも標準ソフトだけでハイレゾ音源対応、音源として一般的になったFLAC形式に対応できるようになり、手軽な再生環境としてはAppleの機材を超えるところまで来ています。
従来は色々な面で優位に立っていたiOSやMacOS機器が、こと音楽再生環境について言えば、他OSの先行を許す形になってしまいました。
次期Androidでは、ソニーが提唱するハイレゾ対応のBluetoothコーデックのLDACがOS標準でサポートされるようになります。チップセット側ではクアルコムのaptX HDがサポートされる可能性が高そうです。
このままだとこれからしばらくは、AndroidOSが音楽再生環境の面ではトップランナーで居続ける状況が続くかもしれません。
iOSでは24bit/48kHzの壁は残る
iOS 11でハイレゾ音源の事実上の標準形式となっているFLACサポートが行なわれるようになりますが、Core Audio機能を使ってLightningコネクタから出力されるオーディオのデジタルデータは24bit/48kHzのままに留まることになりそうです。
この機能をそのまま使う機材では、サンプリング周波数の面で元々の音源データの情報量を活かしきれない状況が続くことになりそうです。
もし音楽再生アプリ側が48kHz以上のサンプリング周波数のサポートを行ないたいと思ったら、今まで同様にその部分の機能等の作り込みが必要になります。残念ながらOS機能だけでは対応が出来ません。
iOS 11機器でCore Audio機能を使って24bit/96kHzなどのハイレゾ音源データの再生を行なうと、今と同じように24bit/48kHzにダウンサンプリングしながらの再生になります。
周囲が速すぎるのかAppleがスピードダウンしたのか
どうもここのところのAppleの新機能、新機軸の開発スピードが少し鈍っているような気がします。
音楽とは関係がありませんが、マイクロソフトは自社開発のSurfaceシリーズでパソコン用OSでタッチパネルをどう活かすかの提案を積極的に行なっているように思います。
それに対してMacOSではタッチパネルが採用されそうな雰囲気がありません。iOSの存在が逆にその部分を難しくしているのかもしれませんが。
マイクロソフトはiOSからMacOSのカバー範囲まで全てをWindows 10で賄おうとして、その分逆の苦労もしているようではあります。ですが2つのOSの棲み分けを考えなくて良い分、マイクロソフトは色々な挑戦をWindows 10に盛り込んでいます。
何か今後Appleから巨大な隠し球が出てくるのかもしれませんが、目に見えるところでは動きが鈍っているように思います。ちょっと気になるところではあります。