最近オーディオ界隈で見直されてきたものに、真空管アンプというジャンルがあります。その独特の音に昔から根強いファンは多く、ずっと少しずつではありますが使われ続けてきたアンプです。
ですがここ数年、真空管アンプの音や特性が見直され、トランジスタやパワーICなどを使ったほかの方式とうまく組み合わせることで、いろいろな面の改善を図ってきたハイブリッド構成と言えるアンプの新製品がいくつも登場するようになりました。
では、このような真空管アンプとハイレゾ音源の組み合わせはどのような感じになるでしょう?
ハイレゾの特徴の一つは活かせる?
ハイレゾ音源の特徴にはいくつかのものがありますが、一つには元の音をより忠実に再現できることがあります。
こちらは「ハイファイ(Hi-Fi)」、高忠実性、といった言葉で表される音楽の方向性ですが、恐らくこちらの方向性は、真空管アンプ、特に古いタイプの真空管のみで構成されるようなアンプとは、あまり相性が良くないと思われます。
真空管アンプの音の特徴はよく使われる言葉を使えば「暖かい音」になるようです。
工学的な特性だけから見ると、真空管アンプの性能はあまり良いとはいえません。ですが、聞いて心地よい音になる傾向が高いようです。
こういった特徴がありますので、真空管アンプはハイファイ方向での音楽の再生には向いておらず、ハイレゾ音源のそちら方向の特性を活かすのにはマッチしません。
ただ、ハイレゾ音源の音の特徴の一つに、ほとんど全ての音を柔らかく繊細に表現できると言うことがあります。こちらの特徴は、もしかすると真空管アンプの音とは良くマッチするかもしれません。
よりアナログに近い柔らかな音を、真空管アンプの暖かいと言われる傾向の音で再生すれば、さらに心地よい音楽が聴ける可能性がありそうです。
USB DAC搭載の真空管採用アンプまで製品化
今ではなんと、ハイレゾ対応のUSB DAC機能を搭載してしまった真空管採用のアンプまで存在します。
とても大手のオーディオメーカーでは出来ない冒険的な製品ですが、確か、中国のオーディオメーカーが挑戦しています。価格が比較的手頃なこともあって、Amazonなどでは、ある程度の評価も獲得しているようでした。
真空管は今の基準ではとても寿命が短く故障しやすいパーツです。このため真空管アンプでも、真空管部分は簡単に交換が行えるようになっていることがほとんどです。
これを逆手にとって、オリジナルの真空管と互換性のある別の真空管に取り替えることで、アンプの音の方向性をチューンする、といった趣味にもなるようです。
再発見されたオーディオ機器として、面白いジャンルかもしれません。