はじめに
- DIYオーディオのコストダウン
- 手元にあるCAT5e/CAT6の活用
- ネット上の「音が良くなる」という噂
――などが背景にあります。
しかし インピーダンス・静電容量・信号ロスまで考慮しないと、「期待した音質向上どころか劣化した」という声も。この記事では 情報提供メインで、メリット・デメリットを中立的に整理します。
1. スピーカーケーブルの基礎知識
1‑1. 導体径とAWG
- 太い=抵抗が低い(=低域に有利)
- 家庭用2~3mなら**16AWG(1.3 mm²)**前後が目安
1‑2. 材質と構造
- OFC銅が定番、無酸素銅や銀メッキは高周波減衰が少なめ
- **ストランド(撚線)**はしなやか、**ソリッド(単線)**は剛性と解像度重視
2. LANケーブルの規格と特徴
| 規格 | 導体径 | 特徴 | 静電容量の傾向 |
|---|---|---|---|
| CAT5e | 24AWG単線 | 100 MHz対応。PoE用途も | やや高い |
| CAT6 | 23AWG単線 | 十字介在でクロストーク低減 | CAT5eより低め |
| CAT6A | 22AWG撚線/単線 | 500 MHz対応。二重シールド品が多い | 低いがケーブルが硬い |
共起語:ツイストペア/シールド/PoE/クロストーク/伝送損失
3. LANケーブルをスピーカーケーブルに流用したときの音質比較
| 観点 | スピーカー用専用品 | LANケーブル |
|---|---|---|
| 抵抗値 | 低い(太い導体) | 細い=高め |
| 静電容量 | 低~中 | ツイストペア構造で高め |
| ノイズ耐性 | シンプル構造で問題なし | シールド付きなら◎ |
| 取り回し | 柔らかい | 硬くて曲げにくい |
| DIY難易度 | 端子圧着が必要 | ペア撚り戻し・半田付けが必要 |
- 高域がスッキリすると感じる人もいるが、静電容量増によりアンプの負荷上昇→ハイ落ちの例も。
- チャンネル間クロストークは低減しやすいが、低域の量感が薄いと評価されるケースもある。
4. メリット
- コストパフォーマンス
1mあたり数十円~で入手可。 - ツイストペアによるノイズ低減
電源ケーブルからの誘導ハムを抑制。 - 配線の色分けが簡単
ペアごとに色付きで誤接続を防げる。
5. デメリット・注意点
- 線径不足:長尺(5 m超)では抵抗増――特に4 Ωスピーカーで要注意。
- 硬さによる結線ストレス:端子を痛める・壁内配線しにくい。
- 静電容量増:NFB(負帰還)深めのアンプでは発振リスク。
- 規格違反で保証外:オーディオ機器メーカーのサポート対象外になる可能性。
6. DIYでの作成手順
- 外皮を剥く(15 cmずつが作業しやすい)
- ペアを2本ずつまとめる(+/-極にする)
- 撚り戻しを軽くほぐす(インピーダンス均一化)
- 半田 or Yラグ/バナナプラグを圧着
- 熱収縮チューブで補強
- 導通チェック(マルチメータで抵抗確認)
7. こんなケースなら試す価値あり
- デスクトップ用途でケーブル長が2 m以下
- 小~中音量中心のリスニング環境
- LANケーブルが余っている&工作が好き
逆に、ハイパワー再生/5 m以上/4 Ω以下のスピーカーでは専用品を推奨。
8. 代替策:高コスパなスピーカーケーブル例
| メーカー | 型番 | 参考価格(1 m) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| BELDEN | 9497 | 約400円 | ロングセラー。ミッドレンジが厚い |
| Mogami | 3103 | 約300円 | 4 N無酸素銅・柔軟 |
| Canare | 4S6 | 約120円 | スターカッド構造でノイズ耐性◎ |
JSBの自社モデルTrapezoid 130 Reference内部配線には、コスパに優れるBELDEN銀メッキ撚線を採用。
「外部ケーブルも合わせたい」という方は、上記ケーブルとの音色マッチングをぜひ検証してみてください。
9. まとめ
- LANケーブルは“使える”が“ベスト”とは限らない。
- 抵抗値・静電容量・取り回しの3点を測定し、短尺&中出力までなら試す価値あり。
- コストより再現性・安全性を優先したい場合は、素直にオーディオ用スピーカーケーブルを選択しよう。
- DIYで得た知見は、ケーブルの長さ・端末加工・スピーカー特性をセットで記録すると比較検証の質が上がる。
最終的に――「音は好み」。
手元に余るLANケーブルで実験的に音の“違い”を楽しむのもオーディオの醍醐味。
もし納得できるサウンドに出会えなければ、高コストパフォーマンスを掲げるJSBスピーカーhttps://jsb-audio.stores.jp/と相性の良いケーブルを探して、新たな音体験を開拓してみてください。



