オーディオメーカーのAstell&Kernというと一番最初に思い浮かぶのは、やっぱりハイレゾ対応のポータブルプレイヤーな方が多いのではないかと思います。
著者も実際その通りで、この製品のリリースニュースを見たときにかなり意外な感じがしました。ただよくよく製品などの成り立ちを考えれば、むしろこのジャンルの製品を市場投入していなかったことの方が不思議とも言えなくもありません。
今回はAstell&Kernが満を持して、と言ったタイミングで市場に投入したハイレゾ対応のコンパクトなUSB DAC内蔵ヘッドフォンアンプ、「PEE51」をご紹介します。
DACチップは使い慣れたCirrus Logic製
Astell&Kernはプレイヤーのグレードなどに応じて使うDACをかなりさまざまにバラすメーカーでもありますが、少しこだわりを持って使い続けているように見えるのがシーラスロジック製のもの。
特に同社のエントリークラスのDAPではとても良く使われている印象があります。
このため恐らくシーラスロジック製のDACの使いこなし、音作りに関してはかなりのノウハウを持っていると予想できます。
PEE51でもその流れからか「CS43198」を採用。コンパクトなヘッドフォンアンプなのにもかかわらず左右独立のデュアル構成で搭載するという、なかなか贅沢な作りを取ってきました。
このDACは最新チップのため対応する音源データが非常に幅広くなっており、PCM音源は32bit/384kHz、DSD音源は11.2MHzまで対応可能になっています。一般的に入手可能なハイレゾ音源は基本すべて再生可能と考えても良いでしょう。
バッテリーレスのコンパクト設計
PEE51はバッテリーを内蔵しないタイプのヘッドフォンアンプで、USBコネクタから供給される電力の範囲内で動作する作りです。デュアルDAC構成ながら省電力タイプのチップを採用することで、発熱なども控えめな製品に仕上がっています。
本体から直接USBコネクタが出るタイプではなく、USB Type-C形状のコネクタと本体の間に短いケーブルを挟むカタチを取っています。このため設置の自由度は高くなる構造ですね。その代わりケーブルが若干邪魔になるケースが出る可能性もあります。
Astell&Kernブランドの機器としてはかなりお手軽価格となっていますが、本体外装はステンレス製の高級感あるもの。さらにUSBケーブルは断線を防止するためにアラミド繊維を使ったしなやかかつ強靱な構造を採用しています。
ケーブルは独自のノイズ混入対策を施した構造も合わせて採用しており、このブランドらしい抜かりない音質対策が採用されています。
サイズの方は本体部分が17mm x 10.3mm x 50mmほどでUSBメモリぐらいの大きさでしょうか。USBコネクタ部は12mm x 8.2mm x 20mm。ケーブルは約6cmで総重量は25gとなっています。
組み合わせる母艦によって若干の制限も
ヘッドフォンアンプ自体の音源データ対応範囲は非常に広くなっていますが、組み合わせる母艦、音源データのトランスポート役ガジェットとの接続上の制限から再生可能な音源のフォーマットや使い勝手に若干制約が発生することはあります。
例えばWindows 10 PCの場合にはAstell&Kern提供の専用ドライバーが必要となりますので、コネクタを挿すだけのホントのプラグアンドプレイでの利用は出来ません。まあ、一度、インストールの手順を踏むだけではありますが。
また、Macでの再生の場合にはDSD形式の音源はDoP方式での再生となるため、DSDネイティブ再生は5.6MHzまでの制限がかかります。が、多くの場合そこまで問題になる制約ではないと思います。
価格の方は1万5千円ほど。
Astell&Kernサウンドの入門機としても最適なガジェットと言えるかもしれませんね。
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