一般的にPC用スピーカーというととりあえずパソコンの音を聞くための物、ぐらいのポジションで本格的にオーディオグレードの音を出す製品は存在しませんでした。
そういったジャンルに大胆に楔を打ち込んだのがクリプトンのKS-1HQMと言う製品でした。USB DAC内蔵のパワードスピーカーで、PCに直結できる製品としては異例な高価格帯での発売となった製品です。
ですがKS-1HQMはしばらく前にディスコンしておりなかなか後継機が出なかったこともあって、このクラスのPC用スピーカーが完全に空白状態になっていました。
同じクリプトンの手になる上位製品は価格帯がドーンと上がってしいますし、Olasonicブランドでハイレゾ対応の大型の卵形スピーカーは価格面でも音質面でもKS-1HQMより1ランク下の同クラスとは言いにくい製品でしたから。
その穴がやっと埋まりそうです。クリプトンが5万円程度の価格帯に後継製品のKS-11を投入することが決まったからです。
著者もPCオーディオをある程度気楽にかつ、本格的な音を出したいときにおすすめできる製品がなかったので、そちらの意味でもちょっとほっとしたところです。
スペック
ますはKS-11のスペックを見ておきましょう。
外観などは旧機種のKS-1HQMとほぼ同じ。後ろにスラントしてバッフル面がやや上を向いた形状です。ディスプレイの横に置いてニアフィールドで聞くことを意識した形だと思います。
スピーカーは前機種と同クラスの63.5mm径の振動板を持つフルレンジユニットを採用。スピーカー側と筐体の工夫でサイズを超えた低音再生能力を持ちます。
再生周波数帯域のほうは70Hz~20kHzとなっています。
また、内蔵アンプは従来機の25W+25Wから35W+35Wに強化されています。
搭載するDACなどは公表されていないようですが、KS-1HQMからスペックアップが図られていて24bit/192kHzの入力に対応します。ただし、DSDのネイティブ再生には未対応となります。
Bluetooth接続も可能に
KS-11では新たにBluetooth接続による再生にも対応しました。この辺りは上位機種のKS-55からの継承、といった雰囲気になりそうですね。
音声コーデックはハイレゾ級のaptX HDにキチンと対応しています。他にはSBC、AAC、aptXへの対応がうたわれていますが、ソニー系のLDACが使えないのはちょっと残念です。
高剛性エンクロージャーを継承
KS-11では前モデルのKS-1HQMにも採用されて高音質を下支えしていた、高剛性のアルミ押し出しフレームを継承して使っています。バスレフ方式採用などの工夫により、サイズ感を超えた低音再生能力を持たせています。
前モデルは専用の小型スピーカースタンドを同梱して無用な振動の影響を排除する工夫をしていましたが、KS-11では新たに開発したインシュレーターをスピーカー底面に装備するようになりました。
これは同社のピュアオーディオコンポーネントのノウハウを活用したもので、ネオフェード・カーボンマトリクスの3層素材を使用しています。
これにより設置の気楽さ・自由度がさらに向上しています。
入力端子はUSB2.0、光デジタルと3.5mmのステレオミニ端子を搭載。さまざまな機器との接続が行えます。
PCオーディオ用だけではなく、Bluetoothでスマホと気楽に繋いでよりいい音で音楽を楽しむにもいい製品になりそうです。
やっぱりスピーカーによる自然な広がり感のある音楽って、イヤフォン・ヘッドフォンで聴く音とはひと味もふた味も違いますからね。
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