真空管の音も選べるハイレゾDAP、Cayin N3Pro

比較的新しいオーディオ機器メーカーで他社とはひと味違うポータブルプレイヤーを開発・販売しているCayinからまたユニークな製品が登場しました。

ヘッドフォンアンプに一般的なソリッドステート、と言いますか普通に高音質のオペアンプを使用したものと真空管を使ったものの2系統を内蔵し、それぞれの特徴ある音の違いも楽しむ贅沢が出来る面白い一品です。

切り替えが可能なのはアンバランスのヘッドフォンとの接続時のみではありますが、新しい音の楽しみ方としてちょっと面白そうなDAPです。

今回はCayinのユニークなメインストリームクラスのDAP、N3Proを取り上げます。

真空管ヘッドフォンアンプ「も」搭載

CayinのN3Proがユニークなのは、やはりヘッドフォンアンプを2系統用意してしまった所でしょうね。

普通だったら真空管ヘッドフォンアンプ1系統のみで「真空管の音」をウリに製品計画を練ると思うのですが、それだけではなくより一般的なトランジスタやオペアンプのようなソリッドステートな素子を使ったアンプも一緒に搭載して音の違いを楽しめるようにしてきました。

真空管はオペアンプなどのICに比べるとサイズも大きいですし物理的にもかなり脆弱な部材であるため、振動や衝撃を受ける可能性が高いポータブルプレイヤーへの搭載にはそれなりに高いハードルがあったはずです。

実際、Cayin N3Proでは真空管を「浮かせる」ような実装で衝撃を伝えにくい工夫を行なっているようです。

この工夫は同時に真空管の電極が振動の影響で動いて特性が変化することを抑制する目的にも使われているようですね。

新たに開発されたNuTubeのような真空管を使うのではなく、あえて既存のビンテージのミリタリー管を使うあたりもCayinのこだわりなのかもしれません。

実はそれ以外もかなり豪華

Cayin N3Proではポータブルプレイヤーの心臓部となるチップのDACには旭化成エレクトロニクスのハイエンド級チップ、AK4493EQをなんとデュアル構成で搭載しています。

アナログ部のみならずデジタル部もかなり豪華な構成になっています。

最新のDACを搭載していますからハイレゾ音源の対応フォーマットも非常に幅広く、DSDの1bit/11.2MHzやPCMの32bit/384kHzまでの対応など、現存するほぼすべての音源を問題なく再生可能な対応力を持ちます。

強力なヘッドフォンアンプ

2系統のユニークなヘッドフォンアンプを持つのも特徴なプレイヤーですが、その出力の高さも特筆できるフィーチャーです。

アンバランス出力時には最大800mWものパワーを発揮し、効率が低く特にポータブルプレイヤーでは鳴らしにくいヘッドフォンも余裕で駆動できる能力を持っています。

バランス出力のヘッドフォン端子としては4.4mm 5極の端子を採用しています。この機種のみならず、徐々にこちらの端子が採用数を増やしてきた印象ですね。JEITAが規格化したのとソニーが推していることが地味に効いてきているのかもしれません。

内蔵ストレージレス

割り切った構成になっているのは内蔵ストレージ。Cayin N3Proは内蔵ストレージを持たず最大1TBの容量をサポートするマイクロSDカードのみの対応になります。

Bluetoothの対応バージョンは5.0。音声コーデックは標準のSBCのほかにAACとLDACに対応します。加えてCayin独自規格のUATもサポート。こちらのコーデックでは最大サンプリングレートが192kHz対応となるのが大きな特徴です。

画面サイズが3.2型でコンパクトな本体ですが、18.9mmとやや厚みがあります。

価格の方は中身の豪華さを考えるとかなりのコスパの税込み6万円程度が予想されています。


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