FiiOというとどちらかといえばモバイルタイプのオーディオに特化したメーカーのようなイメージがありましたが、このほどちょっと面白い製品を発売しました。
実のところ製品のポジショニングが今までのFiiOとちょっと違う、というだけで実は中身の方は至極にFiiO的には順当な製品でもあります。
今回はコスパの非常に優れたオーディオ機器を出し続けているFiiOが作った「据え置き型」のヘッドフォンアンプ、K5 PROをチェックします。
ハイレゾDAP上位機に共通する中身
FiiOの据え置き型ヘッドフォンアンプのK5 PROはデジタル信号を受け取るオーディオ製品の心臓部となるDACに、旭化成エレクトロニクスのハイエンド級の高性能・高音質DACであるAK4493EQを採用しています。
旭化成エレクトロニクスが誇る高音質製品のためのVELVET SOUNDテクノロジーをふんだんに取り込んだチップです。
チップの設計・製造が新しいため、ハイレゾファイルへの対応幅も非常に広くなっているのも特徴の一つです。PCM形式では最高768kHzまでのサンプリング周波数に対応。もちろんネイティブでDSD形式のデータのデコードが可能です。
音質の方は言うまでもなく非常に優れたチップで、旭化成エレクトロニクスのハイエンドチップであるAK4487EQの血統を受け継いでいます。
USBインタフェースにはXMOS製のXUF208を採用。PCM形式では32bit/768kkHzに対応。DSDも22MHzをサポートします。
据え置き型のスペースの余裕を活かした構造
FiiO K5 PROは据え置き型であることを活かした設計を行なっています。
持ち運びやすい小ささを常に意識しないといけないポータブルDAPなどとは異なり、据え置き型は必要以上にサイズを小さくする必要がありません。このため筐体内部にはスペースの余裕があります。
K5 PROはそこを上手に活用する設計を行ないその余裕を音質に活かしています。
特にアナログ段のアンプにその余裕が上手く活用されていて、非常に贅沢な構成のアンプを採用しています。
その余裕のあるアンプの構成がイヤフォン・ヘッドフォンの駆動力のアップにも貢献していて、32Ωの負荷では最大1.5Wもの出力が行える作りです。効率が良くサイズが小さなものならスピーカーも普通に鳴らすことができるパワーです。
300Ωの高インピーダンスヘッドフォンでも最大20Vp-pの出力が実現されています。
ボリュームコントロール部も高品質パーツ採用
K5 PROのボリュームには新日本無線製のアナログボリュームICのNW1195Aを搭載していて、ギャングノイズなどを徹底的に排除して高音質を実現しています。
ADCボリュームコントロール機構の調整により-118dbの極めて低いノイズフロアを実現したとされています。
TI製のフラッグシップオペアンプのTPA6120、JFETオペアンプのOPA1642の組み合わせにより滑らかで解像感が高い音を実現しました。
さらにAC電源部も外付けとして不用なノイズの混入を徹底的に抑制しています。
サイズは120.5mm x 130mm x 55mmと据え置き機材としては十分にコンパクトな仕上がりで、ノートパソコンの横に置いて使う場合でも邪魔にはならないでしょう。
このような充実の中身で価格の方は2万4千円程度と、FiiOらしいコスパの高さを実現しています。パソコンなどの音のアップグレードにぴったりの機材の一つです。
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