FiiOは極めて高いコストパフォーマンスを持つオーディオ製品を世に出し続けているメーカーです。そのFiiOからこのメーカーとしては上位機種に相当するハイレゾ対応ポータブルプレイヤーが登場しました。
このクラスの製品でもFiiOらしいコスパの高さは健在です。中身に使われているパーツ類だけを見れば驚異的とも言えるプライスタグが付けられた製品、それがM11 Proです。
ポータブルDAPはオーディオ製品でありデジタルガジェットでもある
FiiOがポータブルDAPの世界で極めて高いコストパフォーマンスを持つ製品を出せているのは、現在のポータブルプレイヤーの性格をうまく活かしているからではないかと思います。
ポータブルプレイヤーは正真正銘オーディオ製品ですが、中身の部材の多くはスマートフォンなどのデジタルガジェット寄りの性格にもなっています。
このため音質を追求するアプローチにも従来のオーディオライクなやり方と、デジタルガジェット的な電子回路やソフトウェアによるアプローチの2種類があるのではないかと思います。
従来のオーディオ的な手法は手間とその分のお金がかかるやり方ですが、デジタルガジェット的に性能を追求する方法はつぎ込むパーツのパフォーマンスの寄与が大きくなるはずです。
FiiOはどちらかというとデジタルガジェットをチューンする手法をDAPにも適用しているのではないか、著者はそのように予想しています。
それ故、クラスを超えた贅沢な部材を使用しつつ、中身を考えると驚異的とも言える安い価格を実現できているのではないかと。
そのあたりがM11 Proにも反映されているように見えます。
AK4497EQをデュアル搭載
M11 Proは心臓部であるDACに、なんと旭化成エレクトロニクス製DACのハイエンドチップであるAK4497EQを2基、左右独立構成で搭載しています。なんとも贅沢な中身です。
もしも同様の構成を本格オーディオメーカーが採用するなら、そのプレイヤーの価格は軽く10万円を超え価格的にもハイレゾ対応DAPのハイエンドかウルトラハイエンドクラスの製品になると思います。
それをFiiOは税別7万円台の価格に抑えてしまっています。
最新のDACを採用しているので音源データの対応フォーマットは極めて幅広く、32bit/384kHzまでのPCMデータ、11.2MHzのDSDデータのネイティブ再生が可能です。
さらにMQAのフルデコードも可能で、MQAの持つ音のポテンシャルをフルに引き出せます。
3.5mmのアンバランス接続の従来のイヤフォンジャックに加え、2.5mm 4極と4.4mm 5極のバランス接続端子も備えています。これらを駆動するヘッドフォンアンプはしっかりとフルバランス構成。手抜きがありません。
Bluetoothのレシーバー機能、トランスミッタ機能も内蔵し、コーデックはaptX、aptX HD、LDAC、HWAをサポートしています。
ハイレゾDAPのメインストリームクラス製品に
上述の通りFiiOのM11 Proは税別7万5千円程度での販売が行なわれます。これは今のハイレゾ対応ポータブルプレイヤーの主戦場とも言えるクラスで、各社の主力機器がしのぎを削っている現場です。
そこに真っ向から勝負を挑むあたり、FiiOもM11 Proに相応の自信を持っていることの表れかもしれません。
イヤフォン端子のフルサポートやBluetoothレシーバー機能など、機能性の高さもFiiOならでは。
このクラスの新しい選択肢の一つとして期待できる製品になりそうです。
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