aptX系でも遂に24bit/96kHzデータの伝送。Snapdragon 865で実現

aptXは非ハイレゾ対応のBluetoothコーデックの中では低い遅延と高い音質を実現するものとして知られています。

それだけに留まらずクアルコムではこのコーデックのシリーズにおいてさまざまな拡張を模索しています。

Bluetoothコーデックの限界の一つは音の遅延。

これは間に色々な処理がはさまる分ゼロにすることは不可能ですが、出来るだけそれを小さくする研究開発が行なわれています。そちら方向に対応するaptXコーデックがaptX LL。リップシンクの乱れにほぼ気づかないレベルの低遅延を実現しています。

もう一つのBluetoothコーデックの弱点が音質。

Bluetooth自体の転送速度の遅さから、ハイレゾ音源どころかCDクオリティの音源データすら無圧縮で送ることができません。こちらに高効率で高音質な圧縮で対応を計ったのがaptX HDです。

このような色々な性能を一つのコーデックで賄おうと、現在進行形で開発が進んでいるのが「aptX Adaptive」です。今回、最新のSnapdragonである865でaptX Adaptiveが24bit/96kHzのサンプリングレート対応を果たしました。

aptX Adaptive自体はSnapdragon 855から

aptX Adaptiveは名前にAdaptiveとつくとおり、さまざまな条件に合わせて音声伝達の性能を可変させるいわゆる「適応型」の音声コーデックになっています。

低遅延方向に処理を振るとaptX LL並の低遅延を実現可能で、高音質方面に処理を傾ければaptX HD同等レベルの高音質を実現できます。

こちらのコーデックはaptX系最新のものとなっている関係から、比較的新しいSoCでしかサポートされていません。オリジナルのaptX Adaptiveは今、世に出ているスマートフォンでハイエンドとなる機種に採用されるSnapdragon 855から利用可能になっています。

aptX Adaptiveでは音声データを転送するためのビットレートも可変になっていて、従来は280kbps~420kbpsの間で変動するようになっていました。

また、音声データのサンプリングレートはaptX HDと同じ24bit/48kHzまでの対応でした。

Snapdragon 865で拡張

aptX Adaptiveの研究開発は継続して進められていて、Snapdragon 855リリース後にスペックも拡張されています。

対応するサンプリングレートが24bit/96kHzまで拡大され、ソニーのハイレゾ級コーデックのLDACと同レベルになりました。

音声データのビットレートの方は下側が260kbpsまで広がり、BluetoothやWi-Fiなどの電波で2.4GHz帯が混雑している状況でも音切れなどにより強くなる可能性があります。

上限の方は640kbpsまで拡大されていて、情報量の増加がそのまま音質の高さに反映されるはずです。

LDACにはさらに高いビットレートの990kbpsのモードがありますが、これはBluetoothの実効転送速度の最大値に近いもので、人が多い場所では音切れなどの弱点を抱えることになります。

そういったものを避けつつ十分な情報量を確保するための落とし所を探ったビットレートなのでしょう。

対応機材待ち?

これまでにBluetoothイヤフォンやスピーカーでaptX Adaptive対応をうたう製品はまだほとんど存在しなかったと思います。

今後、スマートフォンのハイエンド機がSnapdragon 865搭載機に切り替わっていくことで少しずつこのコーデックに対応する製品も増えていくことでしょう。

aptX Adaptiveに対応しているはずのSnapdragon 855内蔵のスマホがそれなりに世に出ている今でもまだ対応イヤフォンなどがあまり数を増やしていませんので、このコーデックを利用できるようになるにはもう少し時間は必要になりそうです。