国内初のロスレス音楽ストリーミングサービス「mora qualitas」2019年開始
海外ではロスレスの音楽配信サービスDeezer HiFiがスタートしています。これに続くサービスはなかなか登場しませんでしたが、moraがこれを上回る内容を持って参戦することになりそうです。
2019年初春スタートの予定の「mora qualitas」がそれです。
ハイレゾ音源も含むロスレス音源のストリーミングサービスでの聴き放題サービスです。
配信される音源のフォーマット
mora qualitasではCDクオリティの音源だけではなくハイレゾ音源も配信対象に含んでいることが最大の特徴です。
最大24bit/96kHzのPCM形式のハイレゾ音源をロスレス圧縮のFLAC形式でストリーミングする予定になっています。このほかにCDクオリティの音源もFLACで配信されます。
配信される曲の数や対象に含まれるアーティストなどの詳細な内容はまだほとんど明らかにされていません。現在は公式サイトでそのあたりの情報を公開するメールマガジンへの登録を呼びかけている段階です。
配信に関してはnapsterブランドを運営する会社との連携が決まっていて、将来的にはグローバル展開を行なうことも視野に入っているようです。
利用料金は1,980円/月
mora qualitasの月額利用料金は1,980円とされています。
そのほかの音楽ストリーミングサービスの代表格の一つSpotifyは通常プランが月額980円ですから、mora qualitasの料金はかなり強気の価格付けのようにも見えます。
Spotifyなどの通常のストリーミングサービスでは音源データはロスあり圧縮されています。また元データもCDクオリティ。これに対してmora qualitasはハイレゾまで含みロスレス圧縮で、オリジナルの音源データと同じ音質の音楽を聴くことが可能です。
ここをどう評価するかが価格に対する評価を分けることになりそうです。
ネットワークの重要度がかなり高くなる
mora qualitasで配信されるハイレゾ音源、そのうち最も音質の高い24bit/96kHzのサンプリングレートだと、音源データのビットレートは最大5Mbps近いデータ量になります。
ストリーミング配信ですから、この5Mbps以上の通信速度を常に安定して出し続けられる通信環境が求められます。
恐らくリスニング用の専用アプリが準備されて従来のストリーミング配信より多めのバッファリングが行なわれるなど、ネットワークの安定度に影響されにくい聴取環境が用意されるとは思います。
それでも従来の音楽ストリーミング配信サービスよりは数段高いネットワークの安定性が必要になりそうです。
Wi-Fiや携帯ネットワークなどの無線系の接続も、より高い接続の安定性が求められることになるでしょう。
携帯回線の5Gも睨む
mora qualitasでは当初はパソコンをターゲットにしたサービスの展開を行ないます。その方がより安定した通信を行える可能性が高いのと、光回線などの固定回線の接続なら通信データ量にも制限はないからです。
現状の携帯回線では、ハイレゾ音源のストリーミング配信などの膨大なデータ量の通信にはほとんど対応は出来ません。24bit/96kHzのサンプリングレートのハイレゾ音源は1アルバム分で数GBのデータ量になります。
FLAC形式なら多少データ量の圧縮は可能ですが、それでも元データの7割から8割程度のサイズにしかなりません。今の通信プランなら大容量のパケットパックを使っていても10アルバム分程度の音楽を聴くだけで容量を使い切ってしまいます。
mora qualitasも当面はスマートフォン対応は見送り、5G世代でのサポートを考えているようです。ただその際にも結局問題となるのは通信データ量あたりの料金、ということに変わりはないはずです。
そのあたりの通信事情がどうなっていくか、そのあたりも音楽や動画配信サービスの行く先に大きな影響を与えることになりそうです。