クリプトンという日本メーカーの「超」がつきそうなレベルのPCスピーカーKS-1HQMという製品をご存じでしょうか。価格も発売当時のPCスピーカーの概念を大きく超えるものでしたが、音質面でもオーディオグレードの極めて上質な再生が行える製品でした。
そのクリプトンからさらに音にこだわり、かつBluetooth対応を果たしてユーティリティ性の面でもより上を目指した製品が登場しています。
今回はPCスピーカーやBluetoothスピーカーとしては「超弩級」と言っていいような高音質スピーカー、クリプトンのKS-55をご紹介します。
「ガチ」な作り
クリプトンは高音質スピーカを手がける日本のオーディオメーカーです。100万円に手が届くレベルの高級スピーカーも製造するハイエンド指向のメーカとも言えます。
そんなメーカーがPCスピーカージャンルにもかなり本気で取り組んでいます。
最初に書いたKS-1HQMでそれまでのPCスピーカーの概念を大きく超える音質を実現する形で市場に参戦、その後も製品開発を続け25万円というハイエンド製品も市場投入しています。
今回取り上げるKS-55はそのハイエンド製品の設計思想や流れを汲む製品となっていて、上位機種譲りの極めて「ガチ」なオーディオスピーカーとしての作り込みが行なわれています。
筐体はアルミ製で極めて剛性が高く、筐体の「鳴き」がほとんどありません。余分な付帯音がない非常にクリアな再生が可能です。
またエンクロージャーは楕円形の断面形状を持っていてエンクロージャー外側での回折による音の悪化を防止。内部の定在波発生も抑制していますし、剛性を高めることにも役立っているはずです。
付属しているスピーカーの足に当たる部分には非常にこだわった仕様のインシュレーターが組み込まれていて、こういった部分にもPCスピーカの範疇を大きく超えるオーディオ製品的作り込みが行なわれていることが分ります。
目立つアンテナはBluetoothの受信用
KS-55は非常にしっかりしたアルミ製エンクロージャーを使っているため内部に電波が入り込みません。スマートフォンなどでは金属筐体を持つ製品でも、アンテナが電波を取り込むために一部をプラスチックに置き換えて対応しています。
スピーカーではエンクロージャーの一部をプラスチックにしてしまうと、せっかくの高剛性の筐体が残念なことになってしまいます。これを防ぐためにKS-55ではスピーカーの後ろ側にかなりしっかりしたバーアンテナを持っています。
この部分にもKS-55の「本気具合」が見えるという訳です。
サイズを超える再生能力
KS-55のウーファーには63.5mmの振動板を持つユニットが使われています。2Way構成でツィーターも持っていますが、クロスオーバー周波数は1,200Hzとかなり高い所に置かれているので、低音側のユニットはむしろフルレンジスピーカーの特性を持っていそうです。
人の声の主な周波数帯域を1つのスピーカーでカバーしていますので、肉声をよりリアルに再生することができそうです。
KS-55はバスレフ型スピーカーになっています。バスレフポートは背面に設けられていて、共鳴ダクトは上位のより大型の機種で使われているものをそのまま採用。低音の再生能力の向上に寄与しています。
再生周波数範囲は70Hz~60kHzとなっていますので真の重低音再生は厳しいですが、見せかけではないほんとうの低音再生が出来る能力を持っています。
オーディオ機器らしい対応能力
入力はPCと有線で接続するためのUSB Type-B、光デジタル、ステレオミニのアナログ端子をそれぞれ1つずつ装備します。
DSDファイルのネイティブ再生には対応しませんが、パソコンとUSBコネクタで接続して24bit/192kHzまでのハイレゾ音源の再生が可能です。
内部構成もこだわりまくっていて、ツィーターとウーファーには専用のデジタルアンプを持つバイアンプ構成になっています。入力された音楽のデジタルデータはデジタルネットワーク回路で分配され、デジタルのバイアンプまでデジタル信号のまま届けられる形になっています。
音の出口ギリギリまで劣化のない伝送を行なう本気の作り込みです。
こういった徹底した作り込みを行なっている関係で再生される音も極めてクリアで生々しいものになっているようです。PCの横に設置しての近距離での再生でも非常に立体感があり広大な空間の再現ができるスピーカーです。
その分価格も一般的なイメージのPCスピーカーのレンジを大きく超えてはいます。ただ中身は上質なオーディオ製品そのものですので、そういった切り口から見ると決して価格も高くはないかもしれません。
KS-55の価格はペアで92,500円となっています。
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