バブル時代の全盛期だったでしょうか。ミニコンポサイズでより上の音を目指した「ハイコンポ」と呼ばれるオーディオ製品がありました。オンキヨーのINTECや今回取り上げるケンウッドのKシリーズなどが大きなシェアを持っていました。
オーディオブームの衰退もあり、一時期は製品数も大きく減っていましたが、また最近すこし注目を集めるジャンルの製品となっています。
サイズの小ささと設置性の良さから、パソコンを使用する机において「デスクトップオーディオ」的な使われ方をするケースが増えているからです。そういった使われ方を想定してパソコンとの親和性を向上させた製品も多くなりました。
ケンウッドでも超小型と言って良い小型アンプのKA-NA7を世に出しましたが、この機種の上位機種KA-NA9がデビューします。アンプのグレードアップに合わせる形で、このアンプと組ませるのにぴったりな小型スピーカーにも上位製品LS-NA9が登場します。
今回はこの2製品を取り上げてご紹介します。
手のひらサイズ
今回発売されるKA-NA9は先代と言っていいかもしれないKA-NA7と同レベルの小ささを実現したアンプです。
幅は117mmとCDケースよりも狭くなっています。奥行きが179mmとやや長めですが十分にコンパクトで、パソコンのすぐ横に置いて利用するにもあまり邪魔にならない大きさです。
オーディオ製品として地味に重要な「足」には、3点支持となる真鍮製のパーツが奢られます。
スピーカー出力はインピーダンスが4Ω時に10W x2となります。大きなリビングで能率の低いスピーカーを鳴らしきるのは難しいかもしれませんが、一般的なスピーカーならばデスクトップオーディオ以外のシーンでも十分に使えるでしょう。
KA-NA9もUSB DAC機能を搭載していて、パソコンとUSB端子で直結してパソコンのオーディオ回路としても動作できるようになっています。
さらにBluetoothレシーバー機能を持っていますので、スマートフォンと接続して音楽などを簡単にスピーカーから出力できるようになります。
KA-NA9ではJVCグループ独自のアップサンプリング技術「K2テクノロジー」を搭載しました。これにより圧縮音源や非ハイレゾの音源のアップサンプリングと音質の補完が期待できます。
リボンツィーター搭載のLS-NA9
こちらもオーディオを昔から趣味としている人にはちょっと懐かしいかもしれないスペックを持つスピーカーです。
平面駆動の良さと高域の伸びの良さから一時期非常に注目を集めたツィーターユニットのリボンツィーターを搭載するLS-NA9です。
元々、高域の再現力の高さは知られていましたが、その特徴と最近のハイレゾ対応への流れが上手くマッチする形で比較的入手しやすいレベルのスピーカーにもこのユニットが戻ってきた、というのが内情なのかもしれません。
LS-NA9では2Way構成ながら非常に広い再生周波数をカバーできるようになっています。
中低音側を担当するスピーカーは口径80mmながら50Hzまでカバーします。再生周波数帯域の上限は40kHzまで伸びていて、このスピーカーもハイレゾ対応を名乗る製品になります。
スピーカーが小口径なこともあってサイズは非常にコンパクトにまとまっています。幅が100mmに収まっていて設置自由度の高さがウリの一つになるでしょう。
奥行きは163mm、高さはリボンツィーターの大きさの分やや高めで196mmあります。こちらの部分でスピーカーボックスの内容積を稼いで、低音側の沈み込みを確保した設計になっていそうです。
他社製品と真っ向から勝負できそうな価格
パソコンをトランスポートとして音楽を聴くようなスタイルがある程度受け入れられて広がっているせいか、今回取り上げた製品と同クラスの製品がいろいろな会社からある程度の数登場するようになっています。
どの製品も小型ながらかなりの音質を実現しているため、このジャンルの製品は思いの外激戦区になっています。
ケンウッドが今回発売するKA-NA9とLS-NA9も音質次第、という部分はありますが、このジャンルを面白くしてくれる一品になってくれそうです。
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