ソニーは今までイヤフォンジャンルでは「ウルトラハイエンド」と呼べそうな製品をあまり市場に投入してきませんでした。
BA、バランスド・アーマチュアのドライバーを多数投入した製品も少なめで、これまでで最も多くのユニットを投入したイヤフォンでも4基が最高だったのではないかと思います。
コンシューマー向けでは最近はマルチBAよりも高音側をBAドライバーで、中低音側をダイナミック型ドライバーでカバーするようなタイプに重きを置いていたイメージです。
そんなソニーがいよいよ、というよりはやっとでしょうか、ウルトラハイエンドの領域に一歩踏み出すようなイヤフォン製品を発表しています。
この記事ではソニーの新イヤーモニター、IER-M9とIER-M7を取り上げます。
本格的マルチBA構成
今回ソニーが発表したイヤーモニターはどちらも本格的なマルチBA構成を取っていて、ダイナミック型ドライバーを搭載しません。
最近の各社のハイエンドBA型イヤフォンの流れに乗ったもの、とも言えそうな作りです。搭載するドライバーの数はISE-M9が5基、IER-M7のほうは4基になっています。
元々ソニーはバランスド・アーマチュア型のドライバーも自社開発を行なっていて、従来使い続けてきたユニットは他社製よりも小型で広帯域なのをウリにしていました。
今回もまた独自の構造を取るBAユニットを新開発したのではないかと思われます。
コストを惜しまない贅沢な作り
上位機種となるIER-M9は5Way 5ドライバー構成を取っていて、マグネシウム合金製の振動板を持つ新開発のスーパーツイーターを搭載します。
マルチドライバー構成する都合上、それぞれのドライバーでカバーする音の周波数レンジを切り分けるために一般的には「ネットワーク回路」が必要になります。(パソコンやスマートフォンのネットワークとは別の概念です)
このシリーズではネットワーク回路には高いグレードのフィルムコンデンサなどを採用して、ネットワーク回路で無用に音質が変化することを抑制しています。
ハウジングにも剛性の高いマグネシウム合金を採用して不要な共鳴を抑制。耳の穴まで音を導く経路にも工夫を凝らすことで音の質を高める工夫を積み重ねています。
ケーブルは着脱式
高価なイヤフォンですからこのシリーズもケーブルは着脱式になっています。コネクタの規格は明記されていませんので独自のコネクタを採用する可能性もありますが、通常はMMCXなど汎用性のあるコネクタを使うものと思われます。形状的に2pinタイプではなさそうです。
4.4mmの5極タイプのバランス接続ケーブルと一般的な3.5mmのアンバランス接続用のケーブルが最初から付属しています。
高価だがこのジャンルではむしろエントリー機になる??
この二機種は先日香港で行なわれたハイエンドオーディオの見本市で発表が行なわれましたが、その際に発表された予想価格は日本円でIER-M9が13万円+α、IER-M7が7万円+αとなっていました。
一般向けのイヤフォンと考えるとウルトラハイエンドの領域の製品になりそうですが、プロが使うイヤーモニターと考えるとエントリーからメインストリームぐらいの位置づけの製品になるかもしれません。
コンシューマ向けの高級イヤフォンとして使われることも配慮された製品になっているとのことですが、プロがモニターとして使う製品ですので基本的な音の傾向はフラットで入力された音楽信号を出来るだけ忠実に再生することに注力した音作りになっているはずです。
その関係で音の好みの方向性としては、使うユーザーをある程度選ぶ製品になるかもしれません。
それ以前に価格が価格ではありますが。
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