完全デジタル駆動のスピーカー、最初はカーオーディオのクラリオンが車載用として開発しました。その後、「Dnote」というブランドの製品群を使ってオーディオテクニカがデジタル駆動のUSB接続のヘッドフォンを出したり、「OVO」というスピーカーが市場投入されたりしています。
さらに今度はオーディオテクニカがBluetooth接続のネックバンド型イヤフォンで、デジタル駆動の製品を投入してきました。
今回はオーディオテクニカの音質にこだわりまくったBluetoothイヤフォン、ATH-DSR5BTをご紹介します。
Bluetoothもデジタル伝送
Bluetoothは伝送途中で音声データの圧縮こそかかりますが、伝送経路自体は全てデジタル信号です。加えて最後のイヤフォンの振動板の駆動部分までデジタル化することでD/A変換時の信号の鮮度の低下を抑えて情報量の豊かな音を出す、というのがこの方式の最大のメリットです。
イヤフォンやスピーカーの振動板を駆動するドライバー部分に少し専用の作り込みが必要なようですが、ATH-DSR5BTが採用しているデジタル駆動の方式では、イヤフォンのドライバー駆動の最後の部分まで全部デジタル信号のまま音楽のデータを流すことが出来ます。
このため伝送経路で音のデータ劣化がありません。
ただ、Bluetoothでは音声データを電波に乗せて飛ばす前にロスありの圧縮がかかるため、原音と同じデータが流れてくる訳ではありません。
それでも、今はより情報量が豊富で高音質なaptX HDのような音声コーデックが使えるようになっていますので、Bluetoothなので音質は少し我慢、といった状況は薄れてきています。
ピュア・デジタル・ドライブ
オーディオテクニカではデジタル駆動のイヤフォン・ヘッドフォン関連の技術などを総称して、「ピュア・デジタル・ドライブ」と名付けています。
USB接続のヘッドフォンでも今回取り上げるBluetoothイヤフォンでも、イヤフォン・ヘッドフォン側が受け取るデータはデジタルデータで、それを振動板の駆動部分まで全てデジタル処理出来ることからこの名前が付けられています。
その名の通り「ピュア」で情報量豊かな再生が行えることが特徴の製品ですね。
こだわりのドライバー
ATH-DSR5BTではイヤフォンのドライバー部もこだわりの作り込みが行なわれています。
2つのダイナミック型のユニットを対向配置して「逆相」で駆動します。これによって狭いハウジング内で振動板が受ける空気の抵抗、圧力変化による動きの鈍りを抑えてレスポンスの良い振動板を実現する工夫です。
大きなスピーカーだと振動板自体の重さがスピーカーの音の出方に影響を及ぼしますが、ほぼ密閉された小さなハウジングの中で動くイヤフォンの振動板は、空気の抵抗が振動板の動きを抑制してしまう要因になっている、ということですね。
高音質コーデックのaptX HD対応
ATH-DSR5BTはハイレゾ音源の入力にも対応出来る高音質コーデック、aptX HDに対応しています。aptX HDでは24bit/48kHzの入力に対応出来ますので、従来のAACなどよりもよりハイレゾらしい音の伝送が出来ます。
今のところスペック上はより高い音質が期待出来るソニーのLDACには対応していませんが、ファームウェアのアップデートなどで対応を期待したいところです。組み合わせて使うケースが多いと思われるスマートフォンでは、Androidのバージョン8から標準でLDAC対応が入ってきているはずですから。
イヤフォン自体の再生周波数帯域は5Hz~45kHまで対応します。ですので、Bluetoothのみではなく、USBの有線接続による利用も可能だとより面白い製品になったかもしれませんね。
お値段は4万円程度とやや高価ですが、Bluetooth接続でも音質に妥協したくないユーザーにはうってつけの製品になってくれそうです。
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