実践!Windows 10でハイレゾ対応ポタアンを使う

パソコンとハイレゾ音源は相性が良いです。ここでは、実際にWindows 10パソコンにハイレゾ対応のUSB DAC内蔵ヘッドフォンアンプ(またはポータブルアンプ)を接続して、音質のグレードアップを図る方法の実際を見てみましょう。

多分ちょっとPCが分かる人なら、あまりに簡単で拍子抜けすると思います。

使う機材

今回は著者の手元にある、ローエンドと言っていいスペックのとても安価な2in1パソコン、ASUSのT90Chiと、やっぱり在庫処分価格で入手したエレコムのハイレゾ対応ヘッドフォンアンプとイヤフォンのセットでやってみます。

T90Chiは元々はWindows 8.1が入っていましたが、無償アップグレードに載っかってWindows 10にバージョンアップしてあります。

また、最新の大規模更新のFall Creators Updateが導入済みになっています。

エレコムのハイレゾ対応ヘッドフォンアンプは、本来はマイクロUSBコネクタとUSB OTG機能(=USBホスト機能)を搭載したAndroidスマホとつなげて、ハイレゾ音源を本来の音質で聴くために作られた機材です。

ですが、標準的なUSBオーディオデバイスとして設計されていますので、Windowsパソコンでもごく普通に利用することが出来ます。

まず最初の状態

今回使うWindows 10パソコンの最初の状態だと、サウンド回路のプロパティはこんな感じです。

サウンド回路が対応する音のデータのサンプリングレートは16bit/48kHzに固定されていて、変更することが出来ません。

これは、DATで使われていたサンプリングレートで、16bit/44.1kHzのCDとほぼ同レベルの音質です。

接続の実際

「接続の実際」なんて大上段に振りかぶった書き方をしてしまいましたが、実際にはパソコンのマイクロUSBコネクタにヘッドフォンアンプのUSBケーブルを接続するだけ

滅茶苦茶簡単です。

すると最近はもう死語になりつつある気もする言葉ですが「プラグ・アンド・プレイ」で自動的にヘッドフォンアンプを動かすためのドライバーが導入されて、Windows 10がアンプを使える状況まで持って行ってくれます。

この部分がWindows 10で強化され、ハイレゾ対応機材のサポート幅が広がった部分です。以前のWindowsではこのヘッドフォンアンプを利用するためには、専用のドライバーの導入が必要だったはずです。

ですが、実際にはこのヘッドフォンアンプはAndroidスマホ用でWindowsで使えるのはオマケ状態のため、Windows用のドライバーをエレコムは用意していません。新しいWindows 10でしか使えない、というわけです。

ドライバーのセットアップが完了すると、接続したヘッドフォンアンプがサウンド回路として認識されるようになります。

Windows 10上の表示ではヘッドフォンアンプではなく、「ヘッドホン」となっています。

サウンドデバイスとしての詳細情報を確認してみるとこんな感じになります。

サンプリングレートを非常にたくさんの種類の中から選べるようになっているのが分かります。

最大24bit/192kHzまで使えることが分かりますので、きちんとハイレゾ音源対応が出来るようになっていることが見て取れると思います。

ここでは最高のサンプリングレート24bit/192kHzを選択しておきます。

音楽の再生

音楽の再生ではWindows 10標準のアプリ「Groove ミュージック」が使えます

ハイレゾ音源のデータをパソコンにコピーして、Groove ミュージックにそのデータを認識させればOK。

あとはこのアプリから再生を行なうだけで、接続したヘッドフォンアンプ経由でハイレゾ音源の再生が行えます。

また、FLAC形式のハイレゾ音源への対応はWindows 10のOS側で行なわれていますので、実はWindows Media Playerでもハイレゾ音源は再生できます。

nasneに置いた音楽データをDLNAを経由して、Windows Media Playerで再生することも可能です。

プラスαの工夫で音質アップ

ここからは基本編のひとつ上。

この手前までの内容で、パソコンを使ってハイレゾ音源を本来の音質で再生する準備は出来ます。

このあとはそこから1歩進んだ、「プラスα」になりますので、最初はこちらはパスしてしまっても大丈夫です。

ただ、こちらまで手を伸ばしてちょっと頑張ると、さらにいい音でハイレゾ音源だけではなく全ての音楽を楽しめるようになります

音楽を聴くときのWindows自体の弱点

実は音楽を聴くプラットフォームとしてはWindows自体に弱点があります。Windows「パソコン」ではなく、基本ソフト、OSとしてのWindows自体ですね。

音楽プレイヤーやオーディオ機器とは違って、パソコンでは複数のアプリが一緒に動きます。そしてそれぞれのアプリが勝手に音を再生するケースがたくさんあります。

それぞれのアプリが出す音のボリュームはそこそこでも、全部のアプリの出す音が重なると、元々のボリュームよりもずっと大きなボリュームで再生されることになります。

こんな時、最悪の場合にはボリュームが大きくなりすぎてヘッドフォンやスピーカーを破損してしまう可能性がわずかながらあります。

最悪の使い方をした場合、スピーカーって燃えるんですよ?

まあ、そんなことになるケースはごくまれですが機材を壊す可能性をなくするために、Windows内蔵の音のミックス機能は大きな音のボリュームを抑制する機能が仕込まれています

実はこの部分の音質面の評判が非常に悪いのです。

昔から音質面の改善が入っていないようで、ずっとWindowsの音質面の弱点とされてきます。

このWindowsの「サウンドミキサー」と言われる機能を回避することで、ハイレゾ音源だけではなく全ての音楽の再生の音質を引き上げることが出来ます

この場合、通常はUSBコネクタから音源のデジタルデータをそのまま引き出し、外部に接続したUSB DAC内蔵の機材側で音を再生することになります。

オーディオ機材まで100%完全な形のデジタルデータが出力できますので、こういった再生方法を「ビットパーフェクト再生」と呼んだりします。

このビットパーフェクト再生を行なうためのプログラム側の手順として、Windowsでは「WASAPI」と「ASIO」という仕組みが準備されていて、外付けのオーディオ機材やソフトのサポート状況によってどちらかを使うことになります。

ソニーの「Music Center for PC」でビットパーフェクト再生を行なってみる

Music Center for PC」はソニーが無償で提供してくれているハイレゾ音源対応の音楽管理・再生ソフトです。ウォークマン用のx-アプリと、その他スマートフォンなどをサポートするMediaGoの両方の後継ソフトに位置づけられています。

今回はこのソフトでビットパーフェクト再生を行なって見ましょう。

Music Center for PCはソニーのサイトからダウンロードして無料で利用できます。

最初から当然日本語対応していて極めて広い音源フォーマットに対応できる、かなり優秀なソフトに仕上がっています。

ダウンロードはこちらから行ないます。

https://musiccenter.sony.net/ja/

起動するとホーム画面はこんな感じです。

x-アプリの直系、といった外見です。

アプリ内からmoraに接続して楽曲を直接購入することも出来るようになっています。

ビットパーフェクト再生の設定を行うためには、Music Center for PCで「ツール」メニューから「設定」を選択

設定では「オーディオ出力設定」を選びます。

「出力モード」のところに「ASIO」と「WASAPI排他」がリストにあるラジオボタンがあると思います。

このとき接続している機材はWSAPIのみに対応していますのでASIOの方はグレーアウトして選択出来なくなっています。標準ではDirectSoundが選ばれていますが、WASAPIまたはASIOを選ぶことで外付けオーディオと組み合わせてビットパーフェクト再生が出来ます。

ここの設定が出来たら、あとはMusic Center for PCで普通に音楽を再生するだけでOKです。

ビットパーフェクト再生を行なう場合にちょっと面倒かもしれないのは、Windows側のボリューム調整機能が無効になること、音楽再生アプリ以外のアプリが出す音が出力されなくなることです。

ボリューム調節に関してはパソコンに接続したオーディオ機器のボリュームを使います。

ここまでやると、パソコンは完全に音源データのプレイヤー(またはトランスポートと呼ばれる機材)に化けます。組み合わせるオーディオ機器次第では、パソコンもオーディオの一部となるといってもいいですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です