ソニーの手になるパソコン用音楽管理・再生ソフトは、x-アプリ、Media Goが未だに平行して提供され続けています。
世代的にはMedia Goの方が新しく、x-アプリは当初その重さが敬遠されたこともありMedia Goへの一本化が図られるのかと思いましたが、結局そうはならず両方のソフトが今でもメンテナンスされ続けています。
そういった少し分かりにくい状況の改善を狙っているのか、ソニーからまた新しいパソコン用ソフト「Music Center for PC」がリリースされました。
うたい文句としてはMedia Go、x-アプリの後継を狙うということになっていますが、この辺りがどうなっているのかも含め、早速、手元のパソコンにインストールして試してみましたので使い勝手などをまとめます。
ベースはx-アプリ
Music Center for PCをインストールして起動してみるとすぐに気づくことですが、ベースはMedia Goではなくx-アプリの方です。
画面の色合いが少し違うだけで画面構成などは完全にx-アプリそのもの。
メニュー構成もx-アプリからのキャリーオーバーで、x-アプリを使い続けてきたユーザーの移行にはなんの苦労もなさそうです。逆にMedia Goを使ってきたユーザーには、慣れるまではある程度違和感がつきまとうことになるでしょう。
操作感等もx-アプリそのままで、x-アプリに動作の重さを感じていたユーザー、環境では操作感の改善は難しいかもしれません。
ASIOに対応するようになった
x-アプリが消えることなく継続して提供され続けてきた理由の一つに、Windows環境でのサウンドデバイスの占有利用に関する仕組みがあったのではないかと思います。
Media Goは「ASIO」にのみ対応、x-アプリの方は「WASAPI」にのみ対応する、という不思議な状況がずっと続いていました。
これがMusic Center for PCによってようやく統一される形になります。このソフトはASIO、WASAPIの両対応となっています。
Media Goにしろx-アプリにしろ、ソニー系の音楽再生ソフトはサウンドデバイスの占有利用を行なわなくても比較的良い音での音楽再生が出来るソフトとの定評がありましたが、これら機能によってビットパーフェクト再生が出来るようになりますので、音楽データの送り出し側としては最善の方法が使えるようになる訳です。
多機能
Music Center for PCはなかなかに多機能なソフトに仕上がっています。
まず一つ非常に優秀なのは、対応する音源フォーマットの幅が非常に広いこと。WAV、MP3、AAC、HE-AAC、WMA、DSD、FLAC、MQA、APE、ALAC、AIFF、さらにATRAC、ATRAC Advanced Losslessに対応しています。
世にあるほぼ全ての音源データに対応できるかもしれません。
ただ、MQAに関してはMQA独自の「音の折り紙」を再現は出来ない模様です。
また、接続するDACがDSDのネイティブ再生に対応していなくても、DSD形式の音源の再生が出来ます。Music Center for PC側でPCM変換を行なっているのではないかと思います。
ウォークマンなどで使われているDSEEも利用可能で、MP3などの圧縮音源の補完が出来ます。ハイレゾ対応のDSEE HXではないためアップサンプリングは出来ませんが、ロッシーな音源に対する音源改善の効果はある程度ありますね。
さらにCDからのリッピングも出来るようになっています。保存形式はFLAC、WAV、MP3、AACが選択出来ます。
当然のことではありますが最初から日本語化されていますし、インストールして曲データを取り込ませれば特に設定を行うことなくすぐにフル機能が利用できます。
初めてのハイレゾ対応のパソコン側の音楽管理ソフトには適した1本と言えるでしょう。なにより無料ですし。
気になる点も残す
ただ、まだ最初のバージョンと言うこともあるでしょうが、機能的に気になる点ももちろんあります。
Media Go後継も考えていると思われるソフトですが、現時点ではソニーのXperiaも含め、スマートフォンへの音楽転送に対応していません。そもそも機器自体が認識されません。
本当にx-アプリ、Media Goの後継ソフトを目指すのであれば、この辺りのサポートの拡大は早急に対応してもらいたいところです。