Apple社の行っている音楽配信サービスのiTunes Store。こちらではハイレゾ音源は取り扱っているのでしょうか。
このあたりも含め、周辺の状況を少しまとめてみます。
「なぜか」ありませんが、端末は対応しています
最初に結論を書いてしまいますが、いまだに「なぜか」iTunes Storeではハイレゾ音源の取り扱いがありません。
Apple社が策定した音楽データのファイルの形式である、AIFF形式やALACなどと言った形式では、ファイルの形式上はハイレゾ音源の収録が可能な形のファイル形式になっています。
また、他社のソフトウェアですが、MacやiPhoneなどでハイレゾ音源を再生可能にする音楽プレーヤーソフトも登場しています。
新しいMacOSでは、ハイレゾ音源対応のUSB DAC内蔵アンプなどがドライバソフトをインストールすることなく利用できたりと、ハイレゾ音源を聴くための環境はほぼ完全に揃っています。実際に、MacBookやMacProでハイレゾ音源を楽しんでらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。
Apple端末でハイレゾ音源を聴けるけど、iTunes Storeで音源を買うことはできない。こういった状況は2014年以前から揃っていたはずなのですが、なぜかまだiTunes Storeでのハイレゾ音源の取り扱いは始まっていません。
iTunes以外でハイレゾ音源を購入する
iTunes Storeはこういった状況が続いているため、iTunes Storeのハイレゾ音源への対応を心待ちにしている方、首を長くして待っている方は沢山いると思います。
iTunes Storeと独占契約を結んでいて、他の音楽配信サービスからは楽曲を購入できないアーティストもいるからです。今現在、そういったアーティストの曲をハイレゾで聴くことは出来ないのです。
一例としてはビートルズ。
現在、ビートルズの楽曲のダウンロード販売は、iTunes Store経由でしか行えないはずです。このため、現在通常の手段ではビートルズの楽曲のハイレゾ音源を入手する方法がありません。
ただし、ビートルズに関しては「裏技」的なものはあります。
以前、USBメモリにハイレゾ音源と呼べるクオリティの音楽データを収めて発売された、「The Beatles [USB]」というアルバムがあります。こちらを入手する、という手もあるからです。
ただし、こちらは通常の販売は終了しており、中古やプレミアの付いた新品が取引されている程度で、かなり高価な買い物になると思われます。
何にせよiTunes Storeのハイレゾ音源取り扱い開始は待望されていると思われますが、今のところはアップル以外が提供している音楽配信サービスを利用してハイレゾ音源を手に入れることが必要になります。
ハイレゾ音源は、今のところCDまでの色々な音楽とは違って、基本的には街のレコード屋さん、CD屋さんでは購入できません。その多くはインターネットの音楽配信サービスから「ダウンロード販売」の形で購入することになります。
ただ、一部には例外もあって、街のCD屋さんで買えるタイプのものもあります。このあたりの事情をもう少し掘り下げて見てみましょう。
音楽配信サービスから購入
日本では音楽のダウンロード購入型の配信サービスを行っているサイトがいくつも存在しています。ハイレゾ音源に限定する形でサービスを行っているサイトもあります。メジャーなところでは、以下のようなサービスがあります。
moraはSONY系のサービスで、ソニー系列の音楽会社のSMEの楽曲は今のところここからしか購入できません。e-onkyoはオーディオメーカーのオンキョー系列です。OTOTOYは大手のメーカーとは直接の繋がりのない、独自のサービスを展開しています。HQMストアは高品質のオーディオ機器を製造しているクリプトンが行っているサービスです。VICTOR STUDIO HD-Music.は名前の通り、JVCグループのサービスです。
e-onkyoから購入する場合は少し安く買える
ハピタスというポイントサイトを利用することによりポイントが2.2%つきます。ポイントとして還元される比率は決して高くありませんが、できるだけお得にハイレゾ音源を楽しみたいですよね。
スーパーオーディオCD
街のCD屋さんで購入可能なハイレゾと呼べる音源が、スーパーオーディオCD(SACD)です。
SACDでは、一般的なハイレゾ音源の形式のPCM形式と呼ばれる方式とは全く別の方式を使って音楽をデジタルデータ化しています。SACDで使われている方式の方がよりアナログっぽい、原音に近い音が出ると言われています。このためインターネットの音楽配信サービスでも、SACDと同じ原理で作られた音楽データのダウンロード販売を開始しています。
難点は、SACDになっている楽曲、アーティストの数がまだまだ少ないこと。楽曲数だけでいけば、既にダウンロード販売されている一般的なハイレゾ音源の方がずっと上回っているでしょう。
また、SACDを再生するには特別のプレイヤーが必要になると言うこともあります。通常のCDプレイヤーでは再生に対応していないのです。
ブルーレイディスク
こちらも街のCD屋さん、ビデオ屋さんで購入できる可能性のあるものです。
高画質の動画を収録できるブルーレイディスクにも、実は音声をハイレゾ音源の形式で収録した製品があります。これらのディスクを購入してきて、対応するブルーレイディスクプレイヤーなどで再生を行うと、ハイレゾ音源を楽しむことが出来ます。
ただし、こちらもハイレゾ音源の再生に対応するプレイヤーか、AVアンプが必要になります。
iPhoneでハイレゾ音源を聴く方法
iPhone本体のみでは、実はハイレゾ音源には対応していません。そのままではハイレゾ音源の楽曲を聴くことが出来ません。ですがいくつかの工夫で、きちんとハイレゾ音源をハイレゾ音源の音質で聞く方法があります。
再生アプリ
まず必要になるのがハイレゾ音源の再生に対応できるアプリです。iOSに元々搭載されている音楽再生用のアプリは、ハイレゾ音源に対応していません。ハイレゾ音源でよく用いられるFLAC形式の音楽データも認識することが出来ません。
このために、サードパーティー製の音楽再生アプリを使用します。
iOS向けでハイレゾ音源に対応する音楽再生アプリの代表格は以下の2つではないかと思います。
- HF Player
- FLAC Player
どちらも基本機能のみの利用であれば無償での利用が可能なアプリですが、ハイレゾ音源をハイレゾ音源の音質で再生するためには、アプリ内課金で1000円~の料金を支払う必要があります。
基本機能のみの利用ですと、ハイレゾ音源は一応再生できるのですが、CDの音質(サンプリングレート)に落とされた形での再生になります。
ただ、これらの再生用アプリをインストールしてもiPhoneのみでの再生の場合には、CDの音質での再生になります。
USB DAC機能付きポータブルアンプ
iPhoneでハイレゾ音源を本来の音質で再生するために必要となるのが、「USB DAC機能付きのハイレゾ対応ポータブルアンプ」です。
iPhoneとパソコンなどでも利用される端子のUSBのケーブルで接続して、iPhoneから出力される音楽のデジタルデータを、
ポータブルアンプ側のDACでアナログ信号に変換して音楽を再生します。ハイレゾ音源をハイレゾ音源として再生するには、ポータブルアンプ側に内蔵するDACがハイレゾ音源に対応していることが鍵です。
このようなポータブルアンプは場合によってはiPhone本体よりも大きく重いため、そこまでして出先でいい音を聞く必要があるの?という問題は常に出てくるものです。
多くのオーディオ趣味に関する事柄はほとんどみんな同じような議論が出てくるのですが、この部分は、オーディオが人の感性によって何もかも左右される趣味ですので、多分、ずっと一般解が出ることはありません。
必要な人には必要ですし、必要のない人には必要のないもの、としか言えない部分ですね。
ちょっと話が横道にそれましたが、とりあえず上に書いたような2つを揃えることで、iPhoneでもハイレゾ音源を本来の音質で聴くことが出来るようになります。
ただ、iPhoneも携帯電話ですから、音楽再生などでバッテリーを使いすぎて肝心の時に電話が出来ない、というのは電話機としては本末転倒になりかねませんので、その部分には注意が必要かもしれません。