日本でハイレゾ対応のポータブルプレイヤーと言えばウォークマンシリーズが圧倒的とも言える知名度を持っていますが、でも実はそれ以外にもかなりたくさんの種類のプレイヤーが世に出ています。
また、そんな中には非常に凝った作りの、音質面でのコストパフォーマンスがとても優れたプレイヤーもたくさんあります。
今回ご紹介するiBasso AudioのDX80というプレイヤーもその一つ。
5万円前後の価格が付いていてハイレゾ対応ポータブルプレイヤーとしては比較的低価格ながら、とてもこだわりの中身で非常に良い音を実現できているプレイヤーです。
こだわりの中身の数々
iBasso Audioはポータブルプレイヤーやポータブルアンプのメーカーとしては老舗とも言える、かなりメジャーなメーカーです。もちろんとても音の良い製品を作り続けてきたからこその今の評判です。
そんなiBasso Audioが5万円前後の価格帯に投入したプレイヤーがDX80ですが、もちろんこのプレイヤーも非常に音質面にこだわりの作り込みがなされています。
CDを始めとするデジタルなオーディオ機器では、すべての動作の基準となる「クロック」の精度が音質にも非常に大きな影響を与えています。
このDX80ではクロックの発信器に、水晶発振器をも超える精度を持つと言われるSiTime社の「MEMS発信機」を搭載しています。さらにCDの基本クロックである44.1kHzをベースとする発信機と、もとはDATなどの基本クロックである48kHzをベースとする発信機の2系統の発信機を搭載して、非常に高い精度の基本クロックを実現しています。
また、デジタルデータを音楽信号に変換するためのDACには、シーラスロジック製のCS4398を左右独立に2基搭載しています。これによって、再生時には非常に高いS/N比とチャンネルセパレーションが実現できるプレイヤーに仕上がっています。
このDACをチョイスしたことで、24bit/192kHzまでのPCM形式の音源とDSD5.6MHzまでの形式の音源を、変換することなくネイティブで再生することも可能にしています。
ただ、これらのパーツにコストをかけた代償か、内蔵ストレージを一切持たないという、今どきのポータブルプレイヤーとしては珍しい構成になっています。
その分と言ってはなんですが、マイクロSDXC対応のスロットを2つ持っていて、大容量のマイクロSDカードを使うことで容量面の不安はほぼ解消することが出来ます。
厚みのあるゴロンとした本体と良好な操作性
DX80は厚さが17mmと、スマートフォンなどと比べるとゴロンとした感じの本体で、やや厚みがあります。液晶サイズが3.2型と小さめなこともあって、手のひらにはすっぽりと収まる扱いやすいサイズ感です。
再生/一時停止、曲送り、曲戻しの独立した物理ボタンを持つこともあって、通常の利用の上での操作感は上々です。
また、480 x 900ドットの液晶にはジャケットアートなどもキレイな表示が可能ですし、各種操作もタッチパネルを利用した直感的操作が可能になっています。
緻密で正確な再生とパワフルなヘッドフォンアンプ
DACを左右独立で備えた構成がしっかりと活きる、非常に正確で緻密な再生が行えることがDX80の音質の特徴となっているようです。
ハイレゾらしさを上手く引き出せるチューニングがされているようです。
また搭載しているヘッドフォンアンプが非常に強力なのも特徴で、イヤフォンタイプだけではなく、より本格的なオーバヘッド型のヘッドフォンも十分に駆動できるパワーがありそうです。
また、パソコンとの相性も良く、Windowsパソコンならば専用ドライバーをインストールしてUSBケーブルでDX80と接続すると、DX80をUSB DAC内蔵ヘッドフォンアンプ的に利用することも可能になっています。
出先では高音質のポータブルプレイヤーとして、自宅ではパソコンの音質のグレードアップ用の周辺機器として、フルに活用することも可能になっています。
そういった観点でも、5万円前後でこの内容のプレイヤーが入手できるのは、かなりお買い得と言えるかもしれません。