e-onkyoが新しいハイレゾ音源のフォーマットとしてMQAという形式の音源データの取り扱いを開始しました。
この形式自体はメリディアン・オーディオという海外の会社が開発したもので、比較的低いビットレートでも、ハイレゾならではの高音質の記録、再生が可能とされているところが画期的と考えられています。
また、その高音質を「ロスレス」で実現したと公言しているところが最大の注目点かもしれません。
今回はこの新ハイレゾ音源フォーマットMQAを取り上げてみます。
開発元が注目したのは人間の耳の特性
最近の研究で、人間の聴覚は時間軸方向の音の波形の変化にものすごく敏感であるらしいことがわかってきました。
このため音をデジタル化する際などに生じる「リンギング」とメリディアン・オーディオが呼ぶ、本来の音の波形の前後に生じる波形の小さなピークが、本来の音を濁す要素として人間の耳には聞こえてしまう、そう考えるところからMQAの開発がスタートしたようです。
MQAでは音のデジタル化/アナログ復元の際にこの部分に非常に注意して処理が行われるよう、フォーマット自体も設計が行われたようです。
こういった特質を実現するため、MQA本来の音質で再生を行うにはMQAに対応したDACが必要とされていて、対応機器にも同様の対処が行われているものと思われます。
ロスレス?
開発元のメリディアンオーディオではMQAをロスレスのハイレゾ音源フォーマットと呼んでいます。ですが、プレスリリースなどの資料を見ると、厳密にはロスレスと呼ぶのはどうか?と思われる部分もあるようです。
MQAではCDクオリティ部分に相当する音の要素はロスレス圧縮し、それを超える、いわゆる人間の耳に聞こえないないとされる音の成分(≒非常に高い音)はロスありの圧縮をしているように思われます。
普通の可聴帯域はロスレスのため、メリディアン・オーディオがMQAをロスレスと呼称する根拠はこの辺りにあるのでしょう。
高い音の成分はロスレス圧縮方式では圧縮率を上げにくく、データ量の面でも極めてデータ量を食う部分ですので、この部分の質をあまり落とさずに大きく圧縮することが可能になれば、ハイレゾ音源のデータ量を大幅に減らすことが可能になります。
この辺りがMQAフォーマットのハイレゾ音源のデータ量が極めて小さい理由になりそうです。
FLACに肉薄するハイレゾらしい音
実際にMQAの音源を試聴してみたレビューなどを見ると、MQA形式ではFLAC形式などに匹敵するハイレゾらしい音の再現が可能になっているようです。
またMQAの特徴として、CDクオリティの音の成分はほかのPCM形式と互換性のあるデータとなっていることがあげられます。このため、MQA対応の機器を持っていなくても、MQA形式の音源をCDクオリティで再生することが可能になっています。
PIONEERとONKYOのポータブルプレイヤーが対応済み
PIONNEERブランドで発売されているXDP-100R、ONKYOブランドで発売されているDP-X1がファームウェアのアップデートでMQAの再生に対応しています。
これらの機器を使えばとりあえずMQAならではの音質を楽しむことが可能になっています。
音源データのサイズを大幅に圧縮可能なこのフォーマットは、ストレージにどうしても制限の生じがちなポータブルプレイヤーなどには、特に大きな恩恵をもたらす可能性が高くなります。
e-onkyoではかなり積極的にMQAフォーマットの音源データの販売に乗り出していますので、
今後MQA音源も広がりを見せていくことが期待できそうです。