「スーパーウーファー」という言葉を聞いてまず何を思い浮かべるでしょう?多くの人がブルーレイディスクの映画などの音声を迫力あるサラウンドで聞くためのスピーカーの一つ、と思われるかも?
こちらも正解です。
サラウンド対応のシアターシステムやAVアンプなどでは、5.1チャンネルとか7.1チャンネル、などという言い方をされますが、5.1チャンネルであれば、5方向からの音+重低音分の0.1チャンネルという書き方をしています。この分の音が別々の信号としてディスクに書き込まれています
この0.1チャンネル分の重低音を受け持つスピーカーがスーパーウーファーです。
また映画用のサラウンド音声だけではなく、通常のステレオ再生のためにもスーパーウーファーを使うと良いことがあります。今回は通常の音楽再生でスーパーウーファーがあってうれしいところを説明します。
音楽に重要な重低音
ボーカル曲で大事になる歌い手の声に相当する音は、スピーカーなどの音の再生範囲で言うと中音域ぐらいになります。なので、スピーカーは耳に聞こえる範囲の音の真ん中ぐらいの音だけがしっかり出せればいいかというと、実はそうではありません。
他の音楽を構成する音もそうで、その楽器のメインの周波数の音がだけがきれいに出ても、あまりいい音には聞こえてきません。
人間の声や楽器の音に含まれる「倍音」と呼ばれる高い周波数の成分や、逆に低い側の音までしっかり再生できていないと、なんだか薄っぺらな音になってしまいがちです。
特に意外と重要なのが、20Hz~100Hzぐらいの重低音です。ここのあたりの再生のしっかり具合が、音楽全体を支えるような感じになります。
低い音がしっかりと出せることで、聴感上はより高い音の部分まで厚みが増すような聞こえ方になります。音楽すべての再生のクオリティがグッと増してきます。
そのためパソコンなどで使う小型のスピーカーでは対応しきれない低い音をスーパーウーファーで補ってやるだけで、聞こえてくる音楽の質は一気に上がります。
スーパーウーファーは通常1個でOK
ステレオで再生するのならばスピーカーは2ついるはずですが、スーパーウーファーは多くの場合1つだけで十分なケースがほとんどです。
これは音の高さによって「指向性」が変わっているためで、高い音は直進性が高いのでどこで音が出ているのがはっきりと分かりやすいのですが、低い音は逆に指向性が低いためにどこから音が出ているのかがわかりにくく、スーパーウーファー1つだけでも音楽の立体感は邪魔しないようになっています。
このため、ほとんどのシアターシステムでもスーパーウーファーは1つ。音声の信号も、5.2チャンネルではなく5.1チャンネルな訳です。
ただ、最近の本当のハイエンドのサラウンドの仕組みではスーパーウーファーも複数使って、重低音もきちんと試聴する人を取り囲むような形で配置するようになりつつあるようです。
まとめ
重低音の重要さを考えて、イヤフォンのサイズにスーパーウーファーを組み込んでしまった製品まで存在します。比較的高価な製品にはなっていましたが、再生される音はかなり素晴らしいものになっていました。
質の良い重低音がしっかりと表現されると、本当に聞こえてくる音楽の姿が一変します。
もしお手元のコンポやパソコン用スピーカーの音質に不満を感じたらスーパーウーファーを追加したり、最初からスーパーウーファーがセットになったスピーカーに変えてみるのも一つの手だと思います。